AIに広告運用を任せようとして3回壁にぶつかった話
Claude CodeでGoogle Ads検索キャンペーンのキーワード調査から設定変更まで自動化を試みた実録。3回の壁を突破した過程と、広告管理コネクタMarkifactで実現するAI広告運用の全体像を解説します。

はじめに:AIエージェントに広告運用を任せてみた
「AIで広告運用を自動化する」——ニュースでは当たり前のように語られています。では、実際にやってみるとどうなるのか。
今回、AIエージェント(Claude Code)を使ってGoogle Ads検索キャンペーンの分析・改善を一気通貫で行うことを試みました。結果としてキーワードのボリューム調査から設定変更まで、すべてAI単体で完了できたのですが、そこに至るまでに3回の壁にぶつかっています。
この記事でお伝えしたいのは、ツールの紹介ではありません。AIに仕事を任せる側に必要なリテラシーの話です。そして最後に、これらの壁を根本的に解消するツール「Markifact」についても紹介します。
背景:検索広告が7日間で8回しか表示されない
ある地域イベントのGoogle Ads検索キャンペーンで異変がありました。ディスプレイ広告は7日間で18,000回以上表示されているのに、検索広告はわずか8回。何かがおかしい。
AIに原因調査を依頼しました。
壁1:「レポートは見れますが、設定変更はできません」
AIが最初に使ったのは、Google Adsのデータを取得できるMCPツール(外部サービスとAIをつなぐ接続ツール)でした。キャンペーンのパフォーマンスデータを引き出し、品質スコアやインプレッションシェアを分析するところまでは順調でした。
ところが、キーワードの検索ボリュームを調べようとした段階で「このツールにはその機能がありません」と返ってきます。
ここで気づいたのは、AIが使っていたツールはデータの読み取り専用だったということ。広告の設定を変更したり、キーワードの需要予測を取得する機能は備わっていませんでした。
AIは「できません」と回答し、管理画面での手動操作を提案してきました。
壁2:「ブラウザ操作もブロックされました」
では、AIにブラウザを操作させてGoogle Ads管理画面を直接触らせればいいのでは? この発想も試しましたが、広告プラットフォームはセキュリティ上の理由でAIによる自動操作をブロックします。ログインもできません。
ここでAIは再び「できません」と答えました。
「できない」を疑う——ここが分岐点
ここで重要だったのは、人間側が「本当にできないのか?」と問い返したことです。
「GoogleやMetaの広告自動化はAI関連ニュースで溢れているのに、代表的な広告プラットフォームの操作すらできないのは違和感がある」——このフィードバックが突破口になりました。
AIは改めて調査し、読み取り専用のツールとは別に、Google Ads APIをPythonで直接叩けば全機能にアクセスできることを発見します。
壁3:でも最初からボリューム調査してなかった
Python APIでキーワードプランナーにアクセスし、検索ボリュームを調査した結果、既存の13キーワードのうち7つが月間検索数ゼロであることが判明。そもそも誰も検索していないキーワードに広告を出していたのが、8インプレッションの原因でした。
ここで気づく事実があります。キーワードのボリューム調査は、広告代理店なら最初にやる当たり前の作業です。AIは「データが取れない」と言って飛ばしていたのですが、取れないのではなく、別の方法で取れることを調べていなかっただけでした。
これは人間の仕事でもよくある話です。「自分の知っているツールではできない」を「できない」と混同する。
結果:すべてAIで完了できた
最終的に、以下のすべてをAIエージェントが実行しました。
キーワードプランナーAPIで全キーワードのボリューム調査(地域・言語を指定)
ボリュームのあるキーワードへの入れ替え(10キーワード、マッチタイプ指定)
除外キーワードの設定(無関係な検索を除外する21語)
設定変更後のステータス確認(全キーワードが配信可能状態であることを確認)
入れ替え前の合計月間検索ボリュームは約830回(うち7キーワードがゼロ)。入れ替え後は約2,640回(全キーワードにボリュームあり)。
ただし、ここまでの方法にはPython APIの認証設定やコード記述が必要で、マーケターが日常的に使うには敷居が高い問題がありました。
Markifactで壁がなくなる
今回の体験で3つの壁にぶつかりましたが、実はこれらを根本的に解消するツールがすでに存在していました。MarkifactというAIマーケティングコネクタです。
Markifactとは

MarkifactはGoogle Ads、Meta Ads(Facebook・Instagram)、TikTok Ads、LinkedIn Adsなど30以上の広告・分析プラットフォームをClaude・ChatGPT・Geminiなどに接続するMCPサーバーです。GoogleとMetaの公式審査を通過しており、OAuth 2.0で安全に認証します。
今回の3つの壁がMarkifactでどう解決されるか
壁1(読み取り専用)→ 60以上のGoogle Ads操作に対応
レポート取得だけでなく、キャンペーン作成、キーワード追加・削除、予算変更、広告文の編集まで対応。キーワードプランナー(gads_keyword_planner)も用意されているので、ボリューム調査もツール1回で完了します。
壁2(ブラウザ操作不可)→ APIで直接操作、コード不要
ブラウザを経由せず、Google Ads APIに直接接続します。Pythonコードを書く必要もありません。ClaudeやChatGPTに「このキャンペーンのキーワードを入れ替えて」と日本語で指示するだけです。
壁3(業務フローの欠落)→ AIに広告運用の「武器」を持たせる
そもそもAIがボリューム調査をスキップしたのは、使えるツールがなかったことが一因です。キーワードプランナーやレポートツールが最初から手元にあれば、AIは自然とそれを使います。適切なツールがあれば、AIは適切な仕事をする。
安全設計:変更は必ず人間が承認
Markifactの重要な特徴は、書き込み操作は必ず人間の承認を経てから実行される点です。AIがキーワード変更や予算変更を提案しても、ユーザーが確認・承認するまで実行されません。「AIに任せたら勝手に予算を使い切っていた」という事故は構造的に起きません。
料金
無料プランは月100クレジット(試用や小規模運用向け)。有料プランはStarterが月$29、Premiumが月$79から。広告代理店に月額数万〜数十万円を払っている企業にとっては、十分に検討に値する価格帯です。
AIに任せる側に求められる3つのリテラシー
1. 「できない」を鵜呑みにしない
AIが「この機能はありません」と答えたとき、それは「今使っているツールにはない」という意味であって、「世の中に手段がない」という意味ではありません。「本当に? 別の方法は?」と問い返すことで、AIは別のアプローチを探し始めます。
2. 業務知識で「抜け」を指摘する
キーワードのボリューム調査をスキップしたのは、AIが広告運用の実務フローを知らなかったからです。ドメイン知識を持つ人間が「普通はこれやるよね?」と指摘することで、AIの作業品質は大きく変わります。
3. ツールの限界≠AIの限界
MCPツールが読み取り専用でも、APIライブラリを使えば書き込みもできる。Markifactのようなコネクタを使えばコード不要でできる。AIの能力はツールの制約に縛られません。人間が「他にやりようがあるはず」と信じて調べさせることが大事です。
まとめ:AIは優秀な新人、ただし指示待ち
今回の体験を一言でまとめると、AIは非常に優秀だが、壁にぶつかると「できません」で止まる新人に似ているということです。
「できない」と言われたときに「じゃあ手動でやるか」と引き取るのか、「別の方法を探して」と押し返すのか。この違いが、AI活用の成果を大きく左右します。
そして、適切なツール(Markifactのような広告管理コネクタ)をAIに持たせることで、壁自体をなくすことも可能です。広告運用に限らず、AIエージェントを業務に導入する際の本質的なポイントは、ツールの知識ではなく、業務の知識を持つ人間がAIを導くことにあります。
著者:中森秀彬(なかもり ひであき)
株式会社E-teamE 共同創業者 / E-team AI 代表。マーケティング歴約20年。企業向けAI研修の講師として、現場でのAI活用を指導。広告運用・Web制作・データ分析の実務経験をベースに、「AIをどう導くか」を重視した実践型プログラムを提供している。
E-team AI では、現場の業務にAIエージェントを実装する研修を提供しています。「AIに何ができるか」ではなく「AIをどう導くか」を重視した実践型のプログラムです。お気軽にご相談ください。